2010/06/05

2007年-北国初夏の旅(追想:前編)

Twitterで問い合わせがあったので、記憶してる範囲ですが、3年前の北国の初夏旅行記を書いてみます。
もし、今夏、北海道へ行かれる方参考になれば幸いです。

『もう3年も前の話になるが、初めて車を買ったので、少し遠出してみたい衝動が起った。2007年7月慣し運転も兼ねて自宅埼玉から北海道までのマイカー旅行を計画した。
何故に「北海道」となったのかというと理由は3つ、一つ目は「一度、車でフェリーに乗ってみたかった」二つ目は、「函館のスルメイカ旬で是非活け造りを食べたかった」三つ目は「カミさんの友達が北海道に住んでいて、その友達と一緒にNACSの追いかけをやっている子が、調度、北海道で行われる公演に合わせて札幌に行く予定。カミさんとその二人は親しいがあまり3人一緒になれる機会がない。ならタイミングを合わせて車で移動すれば、私が運転手にされる」という事にあった。
北海道には、90年代から毎年スキーに行く事はあっても、夏場に行った事がない。富良野のラベンダー畑の美しい景観は、スナップ写真でホテルに飾られている範囲でしか見た事が無かった。本来の目的がスキーなので、空港ーバスーホテルのルートのみで北海道の魅力を満喫しているかと言われれば、答えはNOである。スキー場の雪質やホテルから歩いてゲレンデに出られる便利さは、主目的として必要十分なので常に満足はしていたが、ホテルの食事では3日もすれば飽きも来る。しかし、冬の北海道のあの雪道を無難に運転できる自信は無い。
行程大枠については、私が走行時間と休憩宿泊ポイントを計算し訴状を作製した、しかし後の宿泊先や食事、周遊ポイントの詳細決定権は、私にはない。今回移動手段として「フェリー」を使うのでその予約以外は全てカミさんの計画表に従って行動する事になった。
<出発>2007/7/11(Wed)
自宅から東北自動車久喜ICまで20分程度。一日目の目標は、東北道を北上し宮城県松島を目指す。関西出身の私としては、日本三景の一つ「松島」は最後に残された景勝地の一つ。子供の頃の記憶で推察すると大抵言われるほど感動するものではないと思っていたが、予想通り芭蕉が感嘆した程の絶景ではなかった(残念)。曇りであった天気の為かもしれないが、大小いくつもの小さな島々と奇岩の織り成す風景は、日本の庭園に水を張ったような光景である。海岸から見た風景だけでは全容はみれないので周遊船に乗り、一回りしてみる事にした。
周遊船に乗ると当然ながら海側から見みる事ができる。リアス式の海岸の中を縫う様にして船が移動し、海に浮かぶ盆栽のような島々を巡る。・・・ウミネコと共に。このウミネコが後々悲劇をもたらすのであるが、ものすごい数、観光船から乗客が「カッパえびせん」のような菓子をまくので完全に餌付けされている。一つ掴み投げ上げると、海面に一片の残りもなくその大群の中で吸い込まれてします。鳥の動体視力と俊敏性は本当の凄い。そんな事に気を取られていると周遊船は同じ港に戻ってきてしまう。石巻の対岸の風景は、やはり芭蕉の時代とは違ってコンビナートが立ち並び、風流とは言えるものでは無かったが、いくつあるかも解らない小さな海の上の盆栽は自然の造形として景勝地と言うに値するものだろうと感じた。盆栽好きの方には、お勧めであると思う。
そして下船するときに悲劇が起っていた。カミさんのお気に入りの帽子に、ウミネコの落とし物が・・・・。多分彼女の思い出には、この後始末が強く刷り込まれてしまったのは間違いない。
1日目の行程は無理せず、松島から気仙沼の漁港でフカヒレラーメンの昼食をとり、仙台で一泊する事になっている。仙台は、やはり東北一の都会。自分の自宅近辺より遥かに近代的で整備されている。
20歳代の頃、出張で仙台には一度来た事がある。その時一番印象にあったのは、黒塗りのクラシカル大きめのワーゲンのような丸みを帯びたボディのタクシーが沢山あった事であった。車種などは覚えていないが、電球色の街灯にその黒いタクシーの姿が何とも言えずお洒落な感じで止まっていた。しかし、今回はまあその時代から20年以上経過しているから再会する事はできなかった。 仙台名物タン塩定食を夕飯にそんな事を思い出して、初日は終了。
走行距離368km 平均燃費異26.3km/L 燃費まで正確に出るのは、私がプリウス20型ユーザーであり、納車からの走行距離と平均燃費、目的地それと合わせて全ての給油量とガソリン価格を記録しているからである。
<2日目>2007/7/12(Thu)
仙台から再び、東北自動車道に乗り真直ぐ青森の最終地点へ。終点の青森からフェリー乗り場までは、非常に行きやすい。
乗船するフェリーは、「東日本フェリー:ばにあ号」かなり古い船のようであった。以外に感じたのは、フェリー乗り場が新築になっている事であった。これは、次期高速フェリー「なっちゃんレナ」の為に、空港の様なブローディングポートを持った最新の設備に改築途上にである為であった。もしこの旅は数ヶ月後であれば最新型の高速艇に乗れた筈だったがそれは永遠に叶わぬ夢になってしまった。
「なっちゃんレナ」は旧来のフェリーで3〜4時間掛かった、青森〜函館間を約半分に短縮し、ファーストクラスを備えた「双胴船」。しかし、運行開始し直ぐに原油高騰の波を受け運行停止となり、幻の高速船になってしまった。このおかげなのかどうか解らないが、チケット発行は、インターネットで予約してバーコード印刷したものをスキャンするチェックイン機が3台あり、まるで空港のようである。
出航までの待ち時間、乗り場の売店で総菜の昼食をとった。これが非常に旨い。飲食店も幾つかあったのだが、手作りっぽい総菜が色々と保冷棚に並んでおり、各300〜350円である。大きなカレイの煮付けご飯をつけて500円也。
 さて、実際に乗ってみた車両フェリーはというと、「動く立体駐車場」という表現が一番ぴったり来ると思う。フェリー後部の車両入り口のゲートから車で乗船し、多分予約時に、車種の仕様を細かく指定するので、配置のバランスを計算して事前にナンバープレートで確認しているのであろう誘導員に指示されるまま2階の駐車スペースまで通される。駐車が完了すると、車止めだけでその他固定設備らしきワイヤーなどは特に行われず、必要な物は全て客室に持っていく様に指示された。出航すると駐車区画には立ち入れない規則である。
ここから約4時間、最初の30分程は、船内を見学してまわったり、廻りの風景を写真におさめたりと動き回っていたが、下北半島を右にみて延々風景は変わらず二等船室でごろ寝することにした。波は穏やかで揺れもなく電車や飛行機に比べ寝転んでいられる分、非常に楽で休憩には持ってこいの時間である。不眠症だがいつの間にか眠りに落ちてしましった。
到着の放送がながれた。窓からは、函館の港が見える、十分に休憩したが今日の運転はもう函館市内の宿泊先までのわずかな距離である。駐車区画に戻り、動く立体駐車場から走り出すと北海道の地、心無しか少し涼しく感じた。
これは今日時点(2010/6/5)の情報であるが、私の乗った東日本フェリーは運行を取りやめ、津軽海峡フェリーとなっているらしい。また、幻となった「なっちゃんレナ」は、期間限定で「ナッチャンWorld」として2010/7/17-10/31復活するらしい。私の乗った「ばにあ号」はインドネシアに売却されて今はもうない、しかし、なっちゃんは売却されてなかったらしい。
因みになっちゃん号型の双胴船は、沖縄那覇軍港にいつも停泊している、米国艦船と同じボディ構造、船マニアなら是非乗ってみる価値はあると思う。
宿泊先に到着して少し荷物の整理をしてから。函館の目的「活イカ」を求め、日が落ち始める頃、路面電車に揺られてえ函館市内へ移動。カミさん指定の居酒屋で待望の「活イカ」の刺身にありついた。手早い調理で水槽からものの1分も掛からず盛りつけられる。胴は透明なままの刺身に、頭はゲソ一緒に出される。肝も刺身となり、付け醤油に解いてもよし、そのまま刺身として食してもよい。絶品である。イカがこれほど旨いと思った事が無かった。
しばらく食事をしていてふとイカに目をやると頭の部分から、緑色の液体がしみ出している。新鮮なものはこうなのかなぁと思いゲソを食しに掛かってからこの緑が何名なのか解った。ゲソの下に置かれたパセリを調理されたゲソがかじっていたのである。それほど元気な刺身、有り難く最後まで頂戴した。
走行距離398km 平均燃費24.0km/L
<3日目>2007/7/13(Fri)
函館から札幌をめざして移動開始。
その前に、折角なので函館の朝市で朝食をとる事にした。平日の朝なのに、観光客も多い。朝から海鮮丼とは贅沢な話しであるが、主食より鮮魚店の「活ウニ」のほうが旨かった。大降りのムラサキウニを生きたまま置いている、これを1個350円で買いその場で店主にハサミを入れて開けてもらう、何の味付けもなしに食べるだけ、塩味は元々の海水のみ、あまく全く磯臭くない最高である。
函館と言えば五稜郭。展望台に上って土方歳三の銅像やら五稜郭の全景なをを眺め、昼食用に函館名物のハッピーピエロのハンバーガーをテイクアウトする。先ずは、大沼国立公園を目指す、新日本三景とあるが、この手の何とか三景は日本に一体いくつくらいのものがあるのか、名乗るだけなら自由だと思うが少し多すぎるように思う。到着すると修学旅行の団体に巻き込まれてしまった。
ここも曇りで、本当なら駒ヶ岳が見える湖畔を期待したが見えず、総じてこの旅、前半戦は天気に恵まれなかった。北海道にも梅雨が起るようなったのかもしれないと感じながら、散策してみた。大沼公園は広く、とても静かなところである。曇ってはいるが空気もよく一日中ボーッとしていたいような穏やかさを感じる。
今日中には、札幌に到着しなければならないので、大沼公園から次は洞爺湖へ。サミットの行われたところである。ここも絶景の筈なのだが、小雨が降るなかサホロ展望台からから洞爺湖を望む。全景は見れないが、確かにカルデラ湖である事が解る。ここでは、中国からの観光客と遭遇、一眼レフのカメラを持っていたせいか、何組もの人にカメラマンを頼まれた言葉は通じないがジェスチャーだけで要望は解るものなんだと実感した。
遊覧ヘリがある様子だが、この日は動いていなかった。まあこの雨雲の中では何も見えないし危険だから当然か・・・。
札幌までは快適なドライブである。しかし、札幌市内に入った途端帰宅ラッシュの渋滞に巻き込まれながら札幌の宿泊先へ到着。カミさんが明日合流する友人達と連絡を取っている。少し渋滞疲れもあったので、ホテルで軽く夕食をすませ就寝。
走行距離275km 平均燃費28.3Km/L
<4日目>2007/7/14(Sat)
宿泊先のホテルのロビーで、2名の到着を待ち、4名で余市のウィスキー工場の見学→さくらんぼ狩り→神威崎→札幌の予定である。
札幌市街を後にして北上、余市のニッカウィスキーの工場に到着。ここは来た価値が十分にあった、自分が酒飲みだったからかもしれないが、発酵から熟成まですべての行程が見れる。また工場自体見学ルートはあるが、出入り自由である。生産ラインに直移関わる場所へは流石には立ち入れないようになっているが基本的に自由行動で制限がない。展示も工夫されていて、実際に作業している人と会話する事も可能、工場内も非常に整備されており一つのテーマパークの様である。しかも入場料はかからない。
願わくば試飲コーナーでのみ比べなどやりたかったー!これだけは悔いが残る。今度は絶対バスで来よう、絶対。この余韻が溜まらず、札幌に戻ってからウィスキーを買いにいってしまった事は当然の結果である。
余市近辺はこの時期さくらんぼが旬のようで、そこここに、さくらんぼ狩りの看板がある、北海道在住の子のお勧めで「さくらんぼ山」という農園でさくらんぼを食べまくる事にした。入園と同時にバケツを手渡されたので、「あー種入れね」と思い込んだがちょっとそれにしては大きい。3Lは入る大きさである、「なんぼ何でもそんなに食えないわな」とひたすら坂道をのぼりおりしながら数種類の木を物色しつつ食べまくる。人生でさくらんぼで満腹になるのはこれが最初で多分最後かもしれないが・・・。
小さな山の斜面に植樹されている為、結構な運動と共に摘果する。なので、自分の想像よりも食べられる。バケツの底に、2センチ程に種が溜まる頃、満腹になった。皆同じ様子なので、下山しバケツを返却。すると「あれサクランボ取らなかったの?種は、その辺に捨てていいのよ」と聞かされ自体がようやく把握できた。先に渡されたバケツは、サクランボ自体を持ち帰る為に渡されたれた計量バケツだったのだ、持ち帰る許容量がバケツの量でその場で食べるのは食べれるだけどうぞというシステムらしい。確かに帰りに入り口の説明書きには、鞄など持ち込み禁止とあり小さい案内パンフレットの様な紙にルールが書かれていた。
食欲に負けて、ちゃんとシステムを理解していなかった失策である。 親切に出口の係員さんが、「よかったらこのビニールに入ってる分持って帰りなさい」と50個程入った袋をくれた。これが、札幌滞在中の夜のデザートになる。
サクランボで満腹になっても、ほぼ水分。神威崎に到着する頃には、平常になっていた。神威崎は、積丹半島の先端部分にある断崖の岬である。駐車上から2-3km徒歩で半島の尾根を上り下りしながら「カムイ岩」の見える先端まで、左右にシャコタンブルーと言われる北の国特有の真っ青な海を下界に見ながら進む。夕日が沈む光景は、とても綺麗らしいが日没まで居ては札幌まで帰れないので、夕日は諦めた。南国の海はエメラルドブルー、少し緑が入った翡翠のようで「碧」という文字がぴったりと合うが、北国の自然の海がこれほど綺麗な「青」「群青」であるいう事は初めて認識した。写真では表現できない深い青である。
ダイバー魂をそそられるが、今回の旅にはライセンスカードも機材も持って来なかったので、その海中の様子を伺い知ることはできない。できるなら海側からも楽しみたいと思わせるに十分な魅力があった。
走行距離235km 平均燃費26.7km/L』

2 件のコメント:

  1. ツイッターの「kannsha_tatsu」です。以後は「たつ」でいきますね!!
    すばらしい文章力ですね!読んでいるだけでイメージが鮮明に浮かんできます。本当にすごいです。
    さらに、とんでもない体験を経験されているのですね!おそらくほとんどの人が経験のないようなことだと感じます。
    ぼくにとって本当に勉強になりました。ありがとうございます^^そして、感謝しています。
    これからもどうぞよろしくお願いします!!!

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  2. 子供の頃から作文は苦手ですが、もし参考になれば幸いです。
    旭山動物園は、後編になりました。

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