2010/07/19

レガシーシステム(古いシステム)

最近、1980-90年代からコンピュータシステムを使っている方から相談が多くなった。業界内では「レガシーシステム」というものである。
案件は、方向性がまちまちで一概に結論を出せないものばかりであるが、問題の根幹はほぼ同じだ。「保守の期限切れ」「今使っていて不便は無いのに高額な設備投資を迫られた」。
大体は想像の域を脱し無い。ディーラーやメーカーの思惑から景気低迷の昨今、そろそろ既存顧客の再開拓をしたいという所からくる、「営業戦略」が根本にあるのだと思うが、実際に製造して10-20年経過したコンピュータ設備においてその製品内にある部品の寿命が近づきつつあるのは、否定出来ない事実だ。
そこで、仲介する業者やコンサルタントと自称する輩がうごめきだす。「レガシーシステムはもう先がありませんよ」「こんなシステムでは他社に負けます」・・・。「はぁ、今十分に使えているんなら何で変える必要がある訳?」私の答えは決まっている。企業の基幹業務部分を昔々に作ったシステムで運用している企業が非常に多い。保守の構造も安心できる体制にある。それをすてて、最新のシステムにすべきという理由が到底理解できない。「安くなるから、技術者が多いから」、全くのでっち上げだ。
これは、自分自身の経験的な見地からの独断であるが、汎用機/オフコンの顧客は、運用体制もしっかりしており、安定した動作保証を最優先に望む。キーワードは「基幹システム」である。自社広告のWEBサイトやブログ、Twitter連係など直接的に企業会計の金額に加減される数値が入らない部分は、時代に追従して変遷をする必要があると思うが、基幹の契約行為や受発注等の業務に最新のシステム機能が必要なのだろうか?
現時点で大きく3つの選択枝になる。
1.Windowsを用いたシステム
2.Linuxオープン系を用いたシステム
3.正規Unix系を用いたシステム
どの方式でも安定運用を標榜すつつ「システム管理機構(組織)」を社内に持つ企業は選択枝は無いといって良いと考える。強いて言えば、3.のみが、安定した運用を今まで通りに社外で保証してくれる道である。
1.に置いては、その安定性、セキュリティの脆弱性から、全く信用できない。また、継続性においてもライセンス契約をほぼ5年周期で強要され概して「基幹」と呼べるものを提供できるインフラではない。表計算やワープロ、プレゼンなどが関の山だと割り切って使う方が、精神的にも肉体的にも安定する。
2.は、初期費用に置いて絶対的に優位にあるように見えるが、維持管理やシステムの心臓部(カーネル)の変更など非営利団体が主体となる分、自己責任で管理監督していく覚悟が必須になる。
3.は、2.とほぼ近い汎用性がるが、メーカーの庇護の元での運用となる為、「真のオープン化」とは言えない費用が結果的に掛かる。
では、現時点で最善策は、何か?となる。ここで最初の答えが登場するユーザーを卑下している訳でもなく怠惰に流される訳でもない。レガシーシステムは「安定、安心」を確保してくれる。そこに価値を見いだすユーザーは、下手な冒険をする事無く現在のシステムを継続して使い続けるべきである。企業のあり方を大きく変える、業界のルールが大変革するまで急ぐ事なかれ、というのが私の考えだ。「常に開拓者であれ」という理想論は理解できなくも無いが、全てのユーザーがそんな冒険を望んでいる訳ではない。特に企業の屋台骨となる会計、受発注、生産計画等では、挑戦的な試みよりも安定が望まれる。軍時的に言えば補給路に近い感覚である。
Windowsのフリーズ(固まって止まる)状態が、水通や電気、ガス、各種警報などのライフラインで発生した場合、デジカメの写真が消えた程度の衝撃で生活できるだろうか?「水が出ない、明かりもない」を「インターネットが使えない、メールが取れない」程度で生活できるかどうかの価値観で変わるが。企業における「基幹システム」はライフラインそのものなのである。

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